睡眠・こころの健康

春まであと少し。冬の「やる気が出ない」を乗り切る科学的な方法


暦の上では春を迎えましたが、まだ厳しい寒さが続いていますね。
なんとなく気分が沈む、やる気が出ない……そんな冬特有の不調を感じてはいませんか?

実は、冬になるとメンタルが下向きになる現象は、科学的な根拠をもって示されています。
今回は、この時期に気分が落ち込みやすい理由と、今日から始められるメンタルケアをご紹介します。

知っておきたい要点

  • 冬の気分の落ち込みは、日照時間の減少や寒さが大きく関係している。
  • 日光不足で「セロトニン」などのホルモンバランスが乱れることが主な原因。
  • 対策の基本は「朝の日光」「軽い運動」「規則正しい生活リズム」。
  • つらいときは無理をせず、専門家へ相談することも大切な選択肢。

冬に気分が沈みやすいのは気のせい?

「冬になると憂鬱な気分になる」というのは、気のせいではありません。実際に、日本国内でも気分の季節性変動が見られることが報告されています。冬に日照時間が短く、寒くなる地域にやや多い傾向がありました。

興味深いことに、北欧諸国、イギリス、東南アジアなどに駐在する日本人および日本在住者を対象にした調査でも、北欧に駐在しているグループで「うつ傾向」を示す数値が明らかに高かったというデータがあります。日本の冬と似た気候を持つ北欧でも、似た傾向が見られたのです。

こうしたことから、気候や環境が私たちの心の状態に大きな影響を与えていると言えるでしょう。
寒さや暗さ、活動量の減少は、冬特有の気分の落ち込みを引き起こす大きな要因となっています。

冬に気分が落ち込む理由

日照時間が短くなると、なぜ気分が落ち込みやすくなるのでしょうか。
主な理由として、日光を浴びる時間が減ると、私たちの体内時計(サーカディアンリズム)が乱れやすくなるためと考えられています。その結果、ホルモンの分泌バランスが崩れてしまい、気分の落ち込みを招きやすくなるのです。
特に、気分を明るくする働きがある「セロトニン」や、睡眠を調整する「メラトニン」のバランスが乱れがちになります。

また、環境要因も見逃せません。寒さによって外出する機会が減り、運動不足になることも、気分の落ち込みにつながります。家の中にこもりがちになると、社会的な交流も減ってさらに気分が落ち込む、という悪循環に陥ることもあるでしょう。

こうした冬の気分の落ち込みは「季節性情動障害(SAD)」としても知られています。
日本人でも8人に1人が季節によって気分や活動性が変化すると報告されており、その傾向は北へ行くほど大きくなるとされています。
「うつ病」と診断されるほどではなくても、多くの人に関係がある冬のメンタルヘルスの問題なのです。

今すぐ始められる!冬のメンタルケア

冬の気分の落ち込みには、日常生活でできる対策があります。
基本的には、生活習慣を整えることが重要です。今日から簡単に取り組める、効果的なメンタルケアをご紹介します。

毎日、できるだけ日光を浴びる

朝の散歩や、カーテンを開けて室内に日光を取り入れるだけでも効果があります。日光を浴びることでセロトニンの分泌が促進され、早寝早起きの習慣づけにもつながります。

適度な運動で体を動かす

運動は、メンタルヘルスや生活の質の改善に効果があるとわかっています。散歩、軽いストレッチ、エレベーターの代わりに階段を使うなど、やりやすいものから試してみましょう。

生活リズムを整える

睡眠不足は精神状態悪化の悪循環を招きます。毎日同じ時間に起床・就寝し、規則的な生活を心がけましょう。

積極的に趣味の時間を持つ

好きなことに取り組む時間は、心身をリラックスさせる効果があります。読書、音楽、手芸など、自分が楽しめる活動を意識的に取り入れましょう。

過度なアルコールやカフェインの摂取を控える

アルコールやカフェインが入った飲み物は、一時的に気分を良くするかもしれません。しかし就寝前の過度な摂取など摂取量やタイミングによっては睡眠障害を招きやすく、結果的にメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことがわかっています。

改善が見られない場合、専門家に相談するのも手

ただの「冬の落ち込み」と思っていても、長期間続く場合や日常生活に支障が出る場合は医療機関の受診を検討することをおすすめします。

日本ではうつ病を経験しても精神科受診に至らないケースが多く、アメリカに比べると精神科の受診率はおよそ半分である、という疫学調査の結果もあります。
「自分には必要はない」「受診するのは恥ずかしい」といった考えで受診をためらう傾向にあるようです。

しかし、精神科の受診やカウンセリングを「特別なこと」と思わず、つらいと思った時は遠慮しないで頼るほうが、早めの回復につながるでしょう。

まとめ

冬の気分の落ち込みは、多くの人が経験する自然な現象です。適切な対策を取ることで、症状を和らげ、心地よい冬を過ごせます。
日光を浴びる、適度に体を動かす、生活リズムを整えるといった基本的な習慣を大切にしながら、春に向けて心も体も温かく過ごしていきましょう。

参考文献

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  7. 健康づくりサポートネット 眠りのメカニズム|厚生労働省
  8. 休養・こころの健康|厚生労働省
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  10. L H Andrade, et al. Barriers to Mental Health Treatment: Results from the WHO World Mental Health (WMH) Surveys Psychol Med. 2013 Aug 9;44(6):1303–1317.

【文責】Pep Up ラボ編集部

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