気づかぬうちに進む動脈硬化…その予防と対策とは?

テレビや雑誌、電車の広告などで「動脈硬化」という言葉を目にする機会も多いでしょう。
「血管が硬くなり、病気になりやすい」といったイメージを持つ方も少なくありません。
今回は、動脈硬化が血管にどのような変化をもたらすのか、またなぜ注意が必要なのかをわかりやすく解説します。
知っておきたい要点
- 動脈硬化とは、動脈の内側が傷つき厚みを増して血管が硬く・狭くなる状態を指す。
- 高血圧・喫煙・高血糖などにより血管内壁が傷つき、コレステロールが蓄積してプラークを形成する。
- 動脈硬化が進むと、心筋梗塞・脳梗塞・閉塞性動脈硬化症などの重大な疾患リスクが高まる。
- 予防には、塩分・糖分・脂質の制限、運動習慣、禁煙、定期的な健診が重要である。
血管が硬くなる仕組み
動脈硬化とは何か?
動脈硬化とは、動脈の内壁が傷つき、厚みを増して硬くなった状態のことを指します。進行すると血管が狭くなり、血流が悪化して全身に影響を及ぼします。
血管を硬くさせているのは何?
動脈硬化は急激に進むものではなく、長い時間をかけて徐々に変化します。高血圧、喫煙、高血糖などが血管内壁を傷つけ、そこにコレステロールが蓄積されるのが初期段階です。蓄積されたコレステロールが固まり「プラーク」を形成し、炎症を起こして血管壁が厚くなり、さらにカルシウムが沈着して血管が硬化します。
血管内壁は少しずつ傷つくため、初期には自覚症状がほとんどありません。血管の内腔が狭くなってから症状を感じることも多く、進行状態に気づきにくいのです。
健康な血管と動脈硬化を起こした血管はどれくらい違うのか
健康な血管は、バランスボールや柔らかいゴムに例えられるような弾力性を持ち、血流の圧力に応じて拡張・収縮できます。動脈硬化が進んだ血管は、タイヤやゴム靴底のように硬くなり、弾力を失い血液の流れが悪化します。血管の硬さは健康な状態の2倍以上になることもあり、これが全身の健康に深刻な影響をおよぼします。
動脈硬化が引き起こす深刻なリスク
心筋梗塞
動脈硬化が進行してプラークが破れると、血管壁が損傷され、血液が凝固して血栓が形成され血管を塞いでしまいます。冠動脈(心臓を栄養する血管)が塞がると心筋梗塞を引き起こし、心筋(心臓の筋肉)への酸素・栄養が届かなくなり、壊死に至ることがあります。進行すると重篤な不整脈や心停止を引き起こす可能性もあり、突然死の原因にもなります。
脳梗塞
同じメカニズムが脳にも起こります。脳へ血液を送り込む血管にプラークが形成され破損すると、血栓ができて血管を塞ぎ、脳梗塞を引き起こします。脳のその部位が壊死すると、言語・運動・認知機能などに深刻な障害を与えることがあります。年齢が上がるほど、動脈硬化は進行しやすくなり、脳梗塞の死亡率も高くなります。
閉塞性動脈硬化症
この病気は、動脈硬化によって動脈が狭くなり血流が悪くなる病態で、特に脚の血管で起こりやすいです。血液の流れが滞ることで筋肉に必要な酸素・栄養が届かず、「間欠性跛行(ある程度歩くとふくらはぎ等に痛み・しびれが出て、休むと和らぐ)」という症状が表れます。
動脈硬化の(進行)予防
動脈硬化は生活習慣病と強く関連しており、その進行を防ぐには日々の生活習慣を見直すことが重要です。まず、脂質・塩分・糖分の多い食事は脂質異常症・高血圧・糖尿病などを引き起こし、動脈硬化を促進します。野菜や果物をしっかり摂り、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
塩分の過剰摂取は高血圧の大きな原因となるため控えめにすることが大切です。高血圧が続くと血管の内壁が傷つき、炎症が生じ動脈硬化が進みやすくなります。
運動習慣も予防において重要です。ウォーキング・ジョギング・軽い筋力トレーニングなどを無理なく日常に取り入れることで血流が促進され、血圧の改善にもつながります。
タバコは血管を収縮させ動脈硬化を進める原因となるため、禁煙は欠かせません。また、アルコールの過剰摂取も血圧上昇の原因となるため適量を守りましょう。
さらに、定期的な健康診断を受けることも重要です。血圧・血糖値・コレステロール値などをチェックし、異常があれば早めに対応しましょう。
早期発見のために
健康診断でのスクリーニング検査
健康診断では、血液検査・血圧・BMIなどで動脈硬化の有無を調べられます。血液検査ではLDLコレステロール(悪玉コレステロール)・HDLコレステロール(善玉コレステロール)・血糖値などが対象です。これらの数値に異常があれば動脈硬化性疾患のリスクも高まると判断されます。
健康診断で動脈硬化を疑ったら医療機関へ
動脈硬化の進行状況を調べる検査として、ABI(足関節上腕血圧比)やCAVI(動脈硬化指数)があります。ABIでは足と腕の血圧を比較し脚の血管の狭窄を確認し、CAVIでは血管の硬さを数値化します。数値が高いほど動脈硬化の進行が疑われます。検査時間は10〜20分程度と短く、身体的負担も少ないため、気になる場合はかかりつけ医に相談してみましょう。
まとめ
動脈硬化は進行するまで自覚症状が出にくく、気づかないうちに深刻な疾患リスクを高める状態です。定期的な健康診断で血圧・血糖値・コレステロールなどをチェックし、早期に異常を発見して対処できるようにしましょう。早めの行動が、動脈硬化の進行を遅らせ、健康な生活を長く保つカギとなります。日々の習慣を少し見直すことが、将来の大きな差になります。
参考出典
- 健康づくりサポートネット 動脈硬化(どうみゃくこうか)|厚生労働省
- 動脈硬化性疾患とは?|日本動脈硬化学会
- 動脈硬化性疾患の発症を予防するためには?|日本動脈硬化学会
- 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版|日本動脈硬化学会
- 高血圧治療ガイドライン2025|日本高血圧学会
- 一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子|日本高血圧学会





