病気を知る

働き世代でも増加!?帯状疱疹の基礎知識と近年の傾向


「帯状疱疹は高齢者の病気」と思っていませんか?

実は近年、高齢化の進行や予防接種による水痘患者の減少などにより、相対的に働き盛りの世代にも帯状疱疹は増えています。帯状疱疹は、とくに夏の発症が多くみられており、これからの季節の体調管理に注意が必要です。

2025年4月からは一部の対象者に対して公費による帯状疱疹の予防接種も始まりました。

今回は、帯状疱疹の基礎知識や発症のサイン、近年の傾向を解説します。健康に年齢を重ねるためにも、ぜひ知っておいてください。

帯状疱疹とは(病態、症状、経過、治療)

帯状疱疹は、水痘と同じウイルスで起きる皮膚の病気です。水痘にかかったことがある方の体内にはウイルスが潜伏しており、成人の水痘帯状疱疹ウイルスの抗体保有率は90%以上です。日本の成人のほとんどが感染済みで、帯状疱疹の発症リスクを抱えています。

加齢や疲労、ストレスなどで免疫力が下がると、体内のウイルスが活性化し、「帯状疱疹」として皮膚に症状がでて発症します。

初期の症状は身体の片側に現れる皮膚の痛みや違和感、かゆみ、水疱などです。症状が進行すると、針で刺すような鋭い痛みを生じ、食事や睡眠に支障が出ることもあります。目や耳、顔などに症状が出るケースもあるため注意が必要です。

かゆみや痛みが出現して、皮膚所見が正常に戻るまでに1ヶ月程度かかります。痛みや経過には個人差があり、皮膚状態が改善しても神経痛だけが残る場合があります。代表的な合併症の帯状疱疹後神経痛は10~50%に生じ、時間が経過するほど自然に消失しにくくなると言われています。

帯状疱疹ワクチンの効果は、発症リスクを下げ、重症化を予防することです。治療は抗ウイルス薬や痛み止めなどの使用が中心です。

帯状疱疹の疑いがある場合には、早めに皮膚科や内科を受診しましょう。

帯状疱疹の近年の傾向

帯状疱疹は年々患者数が増加しており、幅広い年代で発症が確認されています。背景には、高齢化の進行や2014年から開始された水痘ワクチンの定期接種化が関係しています。

従来は、10歳台と50~60歳台で発症のピークがある「二峰性」で、20~40歳台では発症が少ない傾向にありました。しかし、予防接種により子どもの水痘患者が減少した結果、周囲の大人が自然にウイルスに触れて免疫を獲得する「ナチュラルブースター効果」が得られにくくなりました。

2009年~2012年に香川県でおこなわれた罹患率の研究では、70歳代の発症が最も多く、次に80歳以上、そして50・60歳代の順で多いことが示されています。

さらに、近年の帯状疱疹の研究では、下記の結果が報告されています。

  • 帯状疱疹は夏に多く発症し、水痘は冬で鏡のようなパターンを示す
  • 水痘はおもに9歳以下に発症し、毎年12~7月に増加、8~11月に減少する
  • 紫外線曝露量が年々強くなっており水痘ウイルスが活性化する恐れがある

帯状疱疹は高齢でなくても発症するため、とくに夏の体調管理に注意が必要です。

帯状疱疹に気づくポイント

皮膚症状

帯状疱疹に気づくポイントの1つが、皮膚症状です。神経の分布に沿って、皮膚に発赤や水疱が起きるのが帯状疱疹の症状です。胸部や腰部にある、肋間神経に沿ってできることが多いとされま。

「虫刺されや湿疹かと思っていたら帯状疱疹だった」というケースもあります。

目や耳の周囲に症状が出た場合は、失明や重症な後遺症を起こす可能性があるため、すぐに医療機関を受診しましょう。

痛みやかゆみ

痛みやかゆみも、帯状疱疹に気づくサインです。帯状疱疹では、皮膚症状のほかに神経痛やかゆみなどの違和感を生じるためです。

「頭痛かと思ったら帯状疱疹だった」「シートベルトをするときに痛がゆい」なども帯状疱疹のサインです。目で見ても確認できないため、強くなる痛みや軽減しないかゆみには注意しましょう。

発熱やリンパ節の腫れ

発熱やリンパ節の腫れも、帯状疱疹に気づくポイントです。皮膚や神経の症状のように必ず起きるとは限りませんが、侵されている皮膚の周辺に起きやすい症状です。

ウイルスの増加を抑えようと、身体の防衛機能が働くことで起こります。

発症初期や数日前から、37.5度前後の熱が出る場合があります。

「暑いと思ったら帯状疱疹だった」「風邪じゃなかった」ということが起こり得るため、体調管理には注意しておきましょう。

帯状疱疹を疑った際にできること

帯状疱疹かもしれないと感じたら、早めに皮膚科や内科を受診しましょう。抗ウイルス薬や痛み止めを用いることで、症状の悪化や後遺症を防げます。

早期に対応すれば、帯状疱疹は重症化せずに回復できます。また、ストレスを避けて安静にすることも大切です。

帯状疱疹は感染症法で定められた就業制限の対象ではありません。しかし感染リスクがあるため、医療や介護、保育など免疫が弱い人と接する職種では出勤停止の対象となる場合があります。

まとめ

帯状疱疹は高齢者だけでなく、働き盛りの若い世代にも発症します。皮膚症状だけでなく、痛みやしびれなどの神経症状も伴うため、予防と早期治療が重要です。

忙しさから対処を後回しにしたり、「大したことないよ」と軽視したりすると、後遺症が残る可能性があります。

ストレスや生活習慣に注意し、ワクチンを接種することで帯状疱疹は予防できます。発症した場合はすぐに専門機関へ相談し、早めに対処してくださいね。

参考出典

  1. 帯状疱疹ワクチン|厚生労働省
  2. 帯状疱疹ワクチンファクトシート第2版|国立感染症研究所
  3. 診療情報データベースを用いた帯状疱疹の疫学等に関わる研究|厚生労働科学研究費補助金 厚生労働科学特別研究事業
  4. 帯状疱疹大規模疫学調査「宮崎スタディ(1997-2017)」アップデート|国立健康危機管理研究機構
  5. 水痘|国立健康危機管理研究機構
  6. 帯状疱疹|MSDマニュアル プロフェッショナル版

【文責】Pep Up ラボ編集部

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※本記事は一般的な健康情報を提供しています。治療・相談は医療機関にご相談ください。

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