抗菌薬が効かなくなる?世界が注目するAMRとは

11月18日から24日は「世界AMR啓発週間」です。
AMR(Antimicrobial Resistance)とは「薬剤耐性」のことで、これまで効いていた抗菌薬が効かなくなってしまう現象を指します。
感染症が増える季節を前に、この機会に抗菌薬の正しい使い方について考えてみましょう。
知っておきたい要点
- AMR(薬剤耐性)は、抗菌薬が効かなくなる現象。
- 世界中で深刻化しており、2050年にはがんより多くの死者を出すと予測されている。
- 抗菌薬は「必要なときに、正しく使う」ことが重要。
- 子どもの抗菌薬使用も慎重に行い、医師の指示に従うことが大切。
世界AMR啓発週間とは
「世界AMR啓発週間」は、WHO(世界保健機関)が2015年に始めた国際的な取り組みで、毎年11月18日から24日に実施されています。
薬剤耐性に関する認識と理解を深め、行動を促すことを目的としています。日本でも2016年度からこの取り組みを推進しています。
2021年には、薬剤耐性菌(AMR)感染症による死者が世界で約114万人と推計され、2050年には年間約1,000万人に達し、がんによる死亡者数を上回ると予測されています。
耐性菌は国境を越えて拡大するため、世界的な協力が不可欠です。
そして、私たちが日常的に処方される抗菌薬もこの問題に関係しており、決して他人事ではありません。
薬剤耐性(AMR)とは
AMRとは、細菌が薬剤に抵抗性(耐性)を持つようになり、従来の治療が効かなくなる現象をいいます。
これにより、本来なら抗菌薬で治るはずの感染症が治りにくくなり、重症化や死亡リスクが高まります。
特に乳幼児・高齢者・基礎疾患のある人など、免疫力の低い人では注意が必要です。
AMRが生じるのはなぜ?
抗菌薬の乱用や不適切な使用が原因で、細菌が薬剤に対して抵抗力(耐性)を獲得するためです。
現在は新しい抗菌薬の開発が追いつかず、治療の選択肢が減少しています。
特に、肺炎桿菌や緑膿菌などの薬剤耐性菌は院内感染の原因となっており、新薬の開発は世界的課題となっています。
私たちにもできること―抗菌薬の「適正使用」
薬剤耐性を防ぐには、抗菌薬を「必要な時に、正しく使う」ことが大切です。
以下の点を意識しましょう。
- 医師の指示通りに服用し、症状が改善しても自己判断で中止しない。
- 以前の処方薬を再使用しない。必要があれば必ず医療機関を受診する。
- 医師の指示に従い、必要な検査を受けて治療を行う。
- 感染症にかからないよう、手洗い・うがい・マスク・消毒などを徹底する。
私たち一人ひとりの行動が、薬剤耐性菌の拡大防止と未来の医療の質を守ることにつながります。
子どもの抗菌薬使用にも注意を
子どもは大人と比べて薬の吸収や代謝が異なるため、抗菌薬の使用は特に慎重に行う必要があります。
日本小児科学会では、抗菌薬の「適正量・適正期間」の使用を推進しています。
保護者は抗菌薬の性質を理解し、必要に応じて医療機関と連携しながら、正しい治療を受けられるようにサポートしましょう。
まとめ
薬剤耐性(AMR)は、抗菌薬が効かなくなる現象であり、世界中で深刻な問題となっています。
しかし、私たち一人ひとりが抗菌薬を正しく使うことで、その拡大を防ぐことができます。
「世界AMR啓発週間」をきっかけに、抗菌薬の使い方を見直し、感染対策の習慣を改めて確認してみましょう。
参考出典
- 抗菌薬が効かない「薬剤耐性(AMR)」が拡大!一人ひとりができることは?|政府広報オンライン
- 薬剤耐性グラム陰性菌感染症治療薬の臨床開発における留意事項|医薬品医療機器総合機構(PMDA)
- 尾内一信. 小児感染症における抗菌薬適正使用―耐性菌を増やさないための考え方― 小児感染免疫 Vol.26 No.2, p279.
- 抗菌薬適正使用に関する日本小児科学会の考え方|日本小児科学会
- 保険者努力支援制度(取組評価分)制度概要|厚生労働省





