応急手当

住宅地や公園などでも…暮らしのそばに潜む虫害


近年、日本各地でヒアリやゴケグモといった外来生物の存在が確認されており、私たちの身近な環境でも、これらの危険生物に遭遇する可能性が高まっています。
ヒアリは国内での発見例が相次いでいるものの、現時点では人への刺傷被害は報告されていません。一方、ゴケグモ類は住宅地や公園などで定着が進み、刺咬被害も発生しています。いずれも強い毒を持つ特定外来生物であり、知らずに近づくことで刺咬される危険があります。
今回はこの2種に焦点を当てつつ、虫から刺咬された時の対処法と予防のポイントをご紹介します。

知っておきたい要点

  • ヒアリやゴケグモといった特定外来生物は、日本各地で確認されており、身近な場所でも遭遇の可能性がある。
  • ヒアリは攻撃性が強く繰り返し刺す特性があり、アナフィラキシーなど重篤な症状のリスクがある。
  • ゴケグモは攻撃性は低いが神経毒を持ち、咬まれると全身症状を起こすこともある。
  • 被害を防ぐには、正しい応急処置や予防策を理解し、日常的な注意・対策を習慣化することが重要。

特定外来生物、ヒアリとセアカゴケグモとは

特定外来生物とは、もともと日本に生息していなかった外来種のうち、生態系や人の健康、農林水産業に深刻な影響を及ぼすおそれがあるとして、環境省が指定・管理する生物のことを指します。
そのなかで強い毒性をもち、人への被害が懸念される代表的な生物にヒアリとゴケグモがあります。2024年には、ヒアリが東京都・神奈川県・大阪府・兵庫県・愛媛県の港のコンテナヤードで計25件発見されています。一方、ゴケグモは青森県を除く全国で確認されており、学校や公園、プールなど子どもが利用する場所でも見つかっています。

図1:ヒアリの特徴

参考文献:『環境省 自然環境局 野生生物課 外来生物対策室 ヒアリの基礎情報』(一部加工して掲載)

図2:ゴケグモの特徴

参考文献:『環境省外来生物対策室 セアカゴケグモ・ハイイロゴケグモ にご注意ください!』 一部加工して掲載

表1:ヒアリとゴケグモの特徴分類

項目

ヒアリ

ゴケグモ(セアカ・ハイイロ)

原産地

南米

オーストラリア

見た目

赤茶色で腹部は黒っぽく艶あり(2.5〜6mm)

黒〜灰色で腹部に赤い砂時計型模様(約1cm)

巣の特徴

土で作るドーム状のアリ塚(最大90cm)

不規則な巣

生息環境

草地など開けた場所

排水溝やプランターの縁など日当たりの良い場所

攻撃性

非常に高く集団で刺す

攻撃性は低い、触らなければ安全

毒の種類

アルカロイド毒+ハチ毒成分(毒針)

神経毒(毒牙)

主な症状

激痛、かゆみ、膿、アレルギー、アナフィラキシー

刺痛、紅斑、筋肉痛、発汗、麻痺など

重症リスク

高い(国外で死亡例あり)

低い(国外で死亡例あり)

日本での確認

18都道府県

青森県を除く全国

ヒアリとゴケグモ、被害に遭ったときの処置と受診の目安

一般的な虫刺され・咬傷の場合

  • 患部を流水と石けんで洗う
  • 患部を冷やす
  • 市販のかゆみ止めや抗炎症薬を塗布
  • 数日間、経過観察する

次の症状がある場合は医療機関を受診してください。

  • 数日たっても改善しない
  • 腫れが広がっている
  • 発熱や倦怠感がある
  • 水ぶくれや膿が出ている

ヒアリに刺された時の症状と対処法

ヒアリは攻撃性が強く毒針で繰り返し刺します。ハチ毒アレルギーを持つ方は特に注意が必要です。刺されると激しい痛みや赤みが出ることがあり、軽症でも早めの受診が大切です。

刺された場合の応急処置

1. 安全確保:刺された場所から離れ、周囲に知らせる
2. 患部を流水と石けんで洗う、可能なら毒を押し出す
3. 患部を冷やす。必要に応じ薬を塗布。四肢の場合は軽く縛り数分ごとに緩める
4. 20〜30分は安静に観察し、息苦しさや全身に広がるじんましん、動悸やめまいなどの症状があれば速やかに受診

ゴケグモに咬まれた時の症状と対処法

攻撃性は低いものの神経毒を持つため注意が必要です。咬まれると鋭い痛みや赤み、発熱感が出ることがあります。重症化すれば全身の痛みやけいれんを伴うこともあります。

咬まれた場合の応急処置

1. 咬まれた部分を流水や石けんで洗う
2. クモは素手で触らず駆除する
3. 症状が軽くても早めに医療機関を受診。呼吸困難やしびれなどがあれば直ちに受診

危険な虫から身を守るために、予防と対策

  • 家庭:網戸や換気口を点検・補修
  • 屋外活動:草むらでは長袖・長ズボン・手袋などで肌を守る
  • 靴・衣類:屋外放置を避け、使用前に中を確認する
  • 専門業者:大量発生や巣は無理せず業者へ相談

表2:害虫の種類と被害、活動時期

虫の種類

主な被害

活動時期

かゆみ・腫れ・感染症

春〜秋

マダニ

吸血・感染症

春〜秋

スズメバチ

強い痛み・腫れ・アナフィラキシー

夏〜秋

イラガ

毒針毛で激痛・発赤

初夏〜秋

ヒアリ

火傷様の痛み・アレルギー

ムカデ

激痛・腫れ

春〜秋

ゴケグモ類

咬傷・腫れ・神経症状

通年(夏ピーク)

まとめ

虫が人を刺咬する理由は「吸血」と「防衛」に分けられます。ヒアリやゴケグモは自分や巣を守るために攻撃します。被害を防ぐには、生息場所や活動時期を知り、近づかない工夫をすることが大切です。日常的な予防を習慣にしましょう。

参考出典

  1. ヒアリの基礎情報|環境省 自然環境局 野生生物課 外来生物対策室
  2. セアカゴケグモ・ハイイロゴケグモ にご注意ください!|環境省 外来生物対策室
  3. セアカゴケグモ咬傷事例|大阪府 健康医療部生活衛生室
  4. ダニ媒介感染症|厚生労働省
  5. 蜂刺され災害を防ごう|鳥取労働局 健康安全課

【文責】Pep Up ラボ編集部

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※本記事は一般的な健康情報を提供しています。治療・相談は医療機関にご相談ください。

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