【睡眠講座⑭】睡眠不足は平均1時間!人類の歴史から、現代の睡眠傾向を探る

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電気が発明されていない時代、人々は「日の出とともに目を覚まし、日の入りとともに寝付く」ことが普通の生活でした。
時間に追われがちな現代の私たちから見ると、少し羨ましく感じられますね。
しかし、どの時代でも必ずしも安眠は簡単なものではなかったようです。
人類の睡眠習慣の歴史を紐解き、現代人の睡眠傾向を考えてみましょう。
原始時代は現代より寝ていなかった?
現代ほど時間の制約を受けなかったと思われる原始時代。空腹を感じたら狩りをし、眠たくなったら眠る、そんなのんびりとした生活を想像する人も多いでしょう。しかし、いつでも簡単に食べ物が手に入るわけではなく、むしろ命を狙われる危険がある環境では、十分に安心して眠れていなかったと推測されています。
ちなみに「睡眠不足になると食欲が増す(空腹を感じやすくなる)」傾向にあるのは、この時代の感覚が残っているためと考えられています。つまり、空腹を感じているときは、眠らずに狩りをしなければならなかった、というわけです。
そして時代が進み、ろうそくやランプなどの明かりが登場しても、暗くなったら眠り、明るくなったら起きるという生活はしばらく続きました。明かりは贅沢品であり、庶民の生活に浸透するまでに時間がかかったためです。また、1日1度にまとまった睡眠をとるのではなく、寝たり起きたりを繰り返していたのではないかと考えられています。
現代においても、実は気が付いていないだけで、私たちはレム睡眠とノンレム睡眠の波の中で、細切れに目覚めている可能性があります。実際、比較的睡眠に制約のない赤ちゃんや高齢者は、分割して睡眠をとることが多いです。そう考えると、夜中に突然目が覚めてしまっても「寝なければ!」と焦る必要はなさそうです。
ただし、レム睡眠とノンレム睡眠の研究で、まとめて眠る場合の睡眠の前半と後半では、その役割が異なることがわかってきました。つまり、1/3ずつ朝昼晩に分けて眠り、その合計が十分であっても、必ずしも質的に足りているとは言えないのです。途中で目が覚めることがあっても、一続きにまとめて寝ることが大切です。
現代の睡眠は、「電気」と「社会的な習慣」の影響大

現代人がまとめて睡眠をとる習慣が一般的になったのは、社会的な習慣のためと考えられています。私たちの生活は、会社や学校などの時間によって活動パターンが決められています。生産性や効率性を考えると、皆が活動の時間を合わせた方が望ましいため、まずは起床時間が決まり、睡眠もまとめてとるようになったと考えられます。さらに電気が発明され、睡眠をコントロールするようになりました。
ところで、このような現代の社会的な影響を除くと、人はどのくらい眠りを必要とするのでしょうか。睡眠の刺激となるものをすべて無くした状態を作り、1日12時間電気を消して好きなように眠れる、という実験が行われました。

自宅で平均7.37時間(7時間22分)の睡眠をとっている被験者の場合、初めは睡眠不足の反動で睡眠時間が増えたものの、日を追うごとに睡眠時間は減っていったそうです。9日目以降は、自宅での睡眠時間を上回る時間で落ち着き、数学的に推定された必要睡眠時間は平均8.41時間(8時間25分)。習慣的睡眠時間との差は平均1時間だったそうです。さらに、睡眠不足だけでなく、生活習慣病やストレスに関わる内分泌機能も改善されたのだとか。質の良い睡眠をとる大切さがここでも良くわかります。
便利な電気が社会に浸透し、就寝時には命を脅かす危険も減り、ゆっくり安心して眠れるようになった現代。裏を返すと、眠る時間に縛られ、時には電気の明かりに睡眠を邪魔されるようになってきた…というのは、少々皮肉にも感じられます。しかし、睡眠に関する問題や勘違いを知った今、ぜひともそれを逆手にとって電気を上手く活用し、日々の活動に役立ててくださいね。





