血液検査「ヘモグロビン」で何がわかる?基準値外の対処法

血液検査でわかる「ヘモグロビン」について、気にしたことはありますか?
「階段で息切れしやすくなった」「最近すぐに疲れるし、顔色が優れない」このような症状がある方は、ヘモグロビン不足かもしれません。
今回は、ヘモグロビンの検査でわかることや、不足しているときの対処法についてお話しします。
ヘモグロビンってなに?
ヘモグロビンは、鉄(ヘム)とたんぱく質であるグロビンが結びついたもので、赤血球の中に存在しています。ちなみに血液が赤色をしているのは、ヘモグロビンが赤いからです。
なお赤血球の構成成分のうちヘモグロビンの占める割合は多く、全体重量の約1/3を占めます。そして、残り2/3のうち大部分は水分です。
赤血球は120日ほどで寿命を迎えるため、時期が来るとヘモグロビンも鉄とグロビンに分解されます。ただし鉄の多くが血液中で再利用されるため、新たにグロビンと結びつきヘモグロビンが合成されます。
どんな働きをしているの?
ヘモグロビンの代表的な働きは、全身に酸素を運ぶことです。肺で酸素と結びついたヘモグロビンは、血管内を移動しながら全身の各組織に酸素を届けます。
このように、ヘモグロビンがスムーズに酸素を運搬できるのは、状況に応じて構造を変化させられるからです。たとえば酸素濃度の高い肺では酸素との結合力が強くなり、酸素濃度の低い組織では酸素が離れやすくなる構造へと変化します。そのため、ヘモグロビンは各組織内の酸素量に応じて放出量を変えながら、全身に酸素を送り届けています。
ヘモグロビンの基準値
血液中のヘモグロビン量を示したものを血色素量といい、日本人間ドック・予防医療学会の判定値は下記のとおりです。なお、血色素量は「ヘモグロビン値」や「Hb」と記載されることもあります。
判定区分 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
異常なし | 13.1-16.3g/dL | 12.1-14.5g/dL |
軽度異常 | 16.4-18.0g/dL | 14.6-16.0g/dL |
要再検査・生活改善 | 12.1-13.0g/dL | 11.1-12.0g/dL |
要精密検査・治療 | 12.0g/dL以下,18.1g/dL以上 | 11.0g/dL以下,16.1g/dL以上 |
血色素量の判定値に男女差があるのは、性ホルモンが影響するからです。男性ホルモンには造血に関わるエリスロポエチンの産生を促進させる働きがあるので、男性は女性と比べて血色素量(ヘモグロビン値)が高くなります。
基準値よりも高い場合
血色素量が基準値よりも高い場合は、多血症や脱水が疑われます。多血症は赤血球が増えすぎるなど、血液が濃くなっている状態のことです。多血症や脱水になると血液がドロドロして血流が悪くなり、頭痛やめまい、耳鳴りなどの症状が出ることもあります。ちなみに多血症の原因は脱水、遺伝子変異、喫煙などさまざまです。
多血症や脱水の場合には、血液中における赤血球の割合を示すヘマトクリットも高くなります。なおヘマトクリットの基準値は、成人男性40〜50%、成人女性34〜45%です。血色素量やヘマトクリット値が高く症状がつらい場合には、一度内科のかかりつけ医に相談すると安心です。一方、下痢や嘔吐など一時的な脱水によるものであれば、水分補給で脱水状態が緩和されれば検査値も正常に戻るでしょう。
基準値よりも低い場合
血色素量が基準値より低い場合は、貧血が疑われます。貧血になると息切れ、疲労感、顔色が悪いなどの症状が起こりやすいですが、無症状のケースもあります。
なお貧血の主な原因は、鉄不足による鉄欠乏性貧血です。鉄が不足する原因には、月経や消化管出血など鉄そのものが失われるケースと、成長や妊娠により鉄の需要が増大するケースがあります。したがって男性や閉経後の女性が鉄欠乏性貧血になったときには、消化管の検査が必要になることもあるでしょう。健康診断などで検査値に異常があった場合は「たかが貧血」と考えず、早めに再検査を受けてくださいね。
鉄欠乏性貧血の予防・改善方法
鉄欠乏性貧血の予防や改善に大切なことは、食生活の見直しです。血色素量が低めのときには、早めに対策しましょう。
食生活を見直すときに重要なことは、ヘモグロビンの構成成分である鉄の摂り方です。鉄は日本人にとって不足しやすい栄養素のひとつであるため、意識して摂る必要があります。
鉄を多く含む食品はレバーや赤身の肉、かつお、あさりの水煮、ほうれん草、小松菜、枝豆などです。ちなみに、植物由来の鉄は吸収率が1〜8%と低めです。ただし肉・魚などに含まれるたんぱく質や、野菜・果物などに含まれるビタミンCと一緒に摂ることで鉄の吸収率は高まります。
1品で鉄、たんぱく質、ビタミンCを摂るのが難しいときは、肉や魚のメイン料理に鉄やビタミンCを含む野菜を付け合わせるとよいでしょう。またよく噛んでゆっくり食べることで胃酸の分泌を促すことも、鉄の吸収率アップにつながります。
まとめ
ヘモグロビンは多すぎても少なすぎても、体によくありません。
血圧などと比べると気にする機会は少ないかもしれませんが、ヘモグロビンも日常生活の影響を受けやすいものです。
とくに、発症頻度の高い鉄欠乏性貧血には注意が必要です。
血色素量(ヘモグロビン値)が気になったら、まずは食習慣を見直してみましょう。
参考出典
- 健康づくりサポートネット Hb / 血色素量|厚生労働省
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/keywords/hemoglobin-a1c.html - ヘモグロビン|東邦大学
https://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/023713.html - 判定区分 2024年度版|日本人間ドック・予防医療学会
https://www.ningen-dock.jp/ningendock/wp-content/uploads/2024/05/b0b71fa3e7273eefd7863c4bc1065ca7.pdf - 男女の検査値の違いについて|日本臨床検査専門医会
https://jaclap.org/wp-content/uploads/2019/09/labo_no435.pdf - 血液が濃いと言われたら? 「多血症」について|国立長寿医療研究センター
https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/31.html - 張替 秀郎.鉄代謝と鉄欠乏性貧血―最近の知見―.日内会誌 104,1383-1388,2015
- 「日本人の食事摂取基準(2025 年版)」 策定検討会報告書|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316585.pdf





